7 完全移行マニュアル

1.XPから7への移行は注意が必要    2009/09/24

XPから7への移行に際して留意しなければならないポイントは、プロファイル・フォルダの構成変更だ。Vistaからプロファイル・フォルダ構成が大幅に変わり、7もそれを引き継いでいる。XPから手作業でファイルをコピーする際にコピー先を間違えるリスクにつながる。

  XP Vista/7
プロファイル %SystemDrive %\Documents and Settings %SystemDrive%\Users
マイ ドキュメント %UserProfile %\My Documents %UserProfile%\Documents
マイ ピクチャ %UserProfile %\My Pictures %UserProfile%\Pictures
マイ ミュージック %UserProfile %\My Music %UserProfile%\Music
アプリケーションデータ %UserProfile %\Application Data %UserProfile%\AppData
\Roaming
ローカルセッティング %UserProfile%\Local Settings %UserProfile%\AppData\Local、%UserProfile%\AppData\LocalLow
デスクトップ %UserProfile%\デスクトップ %UserProfile%\Desktop
送る %UserProfile%\SendTo %UserProfile%\AppData\
Roaming\Microsoft\Windows
\SendTo

このうち、[マイ ドキュメント][マイ ピクチャ][マイ ミュージック]Vista/7では、互換性維持のため、これらのフォルダにアクセスを試みた際に上表の新しいパスにリダイレクトするため、[マイドキュメント][マイ ピクチャ][マイ ミュージック]という名前のジャンクションを隠しファイルとして用意している。 

  また、「%UserProfile%\Application Data」と「%UserProfile\Local Settings」は、
Vistaから、「%UserProfile%\AppData」以下の「Roaming」「Local」「LocalLow」に分割・再編成されている。「AppData」フォルダには隠し属性が付いている。

 このうち「Roaming」は、ユーザーとともに別のコンピュータに移動できるもの、という考え方で、本稿で取り上げているような場面で移行するファイルの大半は、これに属する。「Local」と「LocalLow」は、ファイル・サイズが大きく、ユーザーとともに移動するには負担が大きいファイルが使用する場所とされる。「Local」と「LocalLow」の使い分けはアクセスするプロセスの信頼度の差によっており、相対的に危険度が高いプロセスが「LocalLow」を使用することになっている。

 こうした変更が発生したため、プロファイル・フォルダのパスを決め打ちにしている設定があると、アプリケーション・ソフトウェアの設定を移行した際にトラブルを起こす可能性がある。バックアップなどの用途でバッチ・ファイルを作成している場合も同様で、プロファイル・フォルダ以下のパスを修正するか、正しく環境変数を利用するように変更する必要がある。

アプリケーション・ソフトウェアのセットアップ先の変更

セキュリティ強化のため、Vistaからアプリ・ソフトウェア用フォルダ以下のアクセス権が厳格化されており、書込を行うには管理者への権限が必要。対象になるフォルダには以下のものがあり、32bit版と64bit版で違いがある点に注意したい。

  • 32bit版(x86) : %SystemDrive%\Program Files\
  • 64bit版 : %SystemDrive%\Program Files\と%SystemDrive%\Program Files(x86)\

 こうした事情から、管理者権限を持たないユーザーでコンピュータを利用しており、プログラム本体と同じフォルダに設定ファイルやデータを保存するアプリケーション・ソフトウェアは、正常に機能しない可能性がある。対策は以下の2種類が考えられる。

  • ショートカットのプロパティ設定を変更して、管理者の資格で実行する。
  • セットアップ先のフォルダを上記以外の場所に変更する。

 前者の方法を用いた場合、アプリケーション・ソフトウェアを実行するたびにUACが起動される。一方、後者の方法はセットアップ先のパス構成が変化するため、アプリケーション・ソフトウェアの設定変更が必要になる可能性がある。